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自殺の煽動学

2025年5月17日 | 社会 | ライター:梶島諒

ある一人の死が報じられると、SNSは瞬く間に追悼で溢れかえる。届かない言葉が投げ交わされる。この状況はどうみても異常である。
そう語るのは、長年アナウンサーとして活躍してきた有園次郎氏(56)だ。
自殺という命の話があっという間に近づき過ぎてしまった。これにはわたしたちメディアの責任もあるのだという。

自殺の煽動学とは、ある人の死をきっかけにして、他の人が自殺を考えるようになる現象を指す。
この現象は、特にSNSの普及により、より顕著になっている。
自殺の煽動学は、社会的な問題であり、特に若者の間で深刻な問題となっている。若者にとってSNSは非常に身近でかつ、集団意識を持ちやすい場なのだと有園氏は考察する。
SNS上での情報の拡散や、他者との比較によって引き起こされることが多いという特性は自殺に限った話ではない。しかし、自殺というセンセーショナルな問題がより多くの若者の関心を惹きつけてしまうのだ。
メディアはこの現象を助長しているのではないかと有園氏は警鐘を鳴らす。
「自殺の煽動学は、メディアが作り出した現象である。特にSNSは、情報の拡散が早く、他者との比較が容易であるため、自殺の煽動学が広がりやすい環境を提供している。」
「メディアは、自殺の煽動学を助長するような報道を行っている。特に、若者に対しては、自殺を美化するような報道が多い。」
真実とはどのように伝えられるべきなのか。これが私たちに与えられた使命なのだろう。
これらの現象は正解がないからこそ、難しい。伝えるということが命を救う場合も、命を脅かす場合もあるのだ。

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